癜風(でんぷう、英: Tinea versicolor)は、マラセチア属の癜風菌(Malassezia furfur)による皮膚感染症で、無症状の鱗屑を伴う斑が多発する。癜風は良性であり人から人への感染性はないと考えられ、発症者の大半は健康である。熱帯地方では人口の20-30%が罹患していると報告されている。

病変部は日焼けで黒くならないため、夏に診断されることが多い。ありふれた日和見感染の一つであるが気づかない人が多く、一般的に認知されていない。M. furfur によって産生されるアゼライン酸が、メラニン合成に関わるモノフェノールモノオキシゲナーゼを阻害することで、皮膚の脱色や着色が生じる。

原因菌

  • マラセチア属(英: Malassezia)
    • Malassezia globosa, M. furfur

原因

癜風菌への感染によるが、皮膚の常在菌として存在しており、ほとんどの人では発症せず無害である。当該疾患に対する感受性を高める因子は、高温多湿、コルチコステロイド、妊娠、低栄養、糖尿病、その他の疾患による免疫抑制がある。遺伝的に、マラセチア属真菌が増殖しやすい体質の人もいる。

症状

細かい鱗屑が付着する淡褐色斑(黒色癜風)あるいは脱色素斑(白色癜風)ができる。好発部位は背部、胸部、頸部、上腕、腋窩などで、春から夏にかけて発症および悪化しやすく、痒みを伴わないことが多い。

癜風で生じる色素減少は、数カ月から数年をかけて回復する。

診断

  • 臨床的な外観
  • KOH法による直接鏡検
  • ウッド灯検査

治療

  • 抗真菌薬の外用塗布または内服

出典・脚注

  • 癜風 MSDマニュアル プロフェッショナル版
  • 渡辺晋一、皮膚真菌症診断・治療ガイドライン 日本内科学会雑誌 2017年 106巻 4号 p.802-806, doi:10.2169/naika.106.802

関連項目

  • 脂漏性湿疹

外部リンク

  • 清佳浩、癜風関連疾患 (PDF)
  • 清佳浩、「マラセチア関連疾患」Medical Mycology Journal. Vol.53 (2012) No.2 p.97-102, doi:10.3314/mmj.53.97



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