2024年インド総選挙(2024ねんインドそうせんきょ、英語: 2024 Indian general election)は、2024年4月19日から6月1日にかけて、インドで行われた国民議会(下院)議員(第18期)の総選挙である。

概要

広大な国土のため、投票は7回に分けて実施され、開票は6月4日に一斉に行われた。前回2019年の総選挙を上回り、有権者数は約9億7000万人にのぼり世界最大規模の選挙となり、選挙期間は44日間にわたった。首相のナレンドラ・モディにとっては、政権3期目をかけた総選挙である。

アーンドラ・プラデーシュ州、アルナーチャル・プラデーシュ州、オリッサ州、シッキム州では、総選挙と同時に州議会議員選挙も実施されるほか、16の州議会で計35議席の補欠選挙が実施された。

多党制を採用するインドでは、インド人民党とインド国民会議派の二大政党が国政を主導しているが、2014年以降、インド人民党が首相ナレンドラ・モディのもと政権を担当してきた。第17期ローク・サバーは、2024年6月16日に任期満了を迎える。前回の総選挙は2019年4月から5月にかけて実施され、その結果、インド人民党率いる政党連合「国民民主同盟」が政権を獲得し、モディが首相に再任された。

選挙データ

インド憲法第83条は、ローク・サバーの5年に一度の改選を規定している。定数は543で、全議席単純小選挙区制で選出される。過去にはイギリス系インド人のために2議席が留保されていたが、憲法修正第104条で廃止された。

有権者は18歳以上のインド国民で、選挙管理委員会もしくはそれに準ずる機関が発行する有権者識別カードを持っていなければならない。選挙違反などで過去に有罪判決を受けた人物などは、投票できない。

2023年にはローク・サバーや各州議会の議席の3分の1を女性に留保する法案が成立したが、実際に適用されるのは次回の国勢調査以降であるため、今回の総選挙は対象外となる。

選挙法ではすべての村落の2キロメートル以内に投票所を設置しなければならないと規定されているため、アルナーチャル・プラデーシュ州マロガム村では1人の有権者のために投票所が設けられる見込みである。ケーララ州の野生生物保護区やグジャラート州の輸送コンテナ、民族間の暴力から逃れてきた5万9000人を収容するマニプール州の320カ所の一時避難施設にも投票所が開設される。

総選挙には100万か所以上の投票所に、550万台近くの電子投票機が置かれ、1500万人の作業員・警備員が投入される。電子投票機をめぐっては、インド国民会議派が不正投票につながるおそれがあるとして利用の差し止めと紙の投票券への転換を求めていたが、2024年3月にインド最高裁判所はこれを却下した。

今回の総選挙では記録的な熱波のため、障害者と85歳以上の高齢者に在宅投票が認められた。また、テランガーナ州の一部の地域では、有権者の便宜をはかり投票時間が数時間延長された。

内閣

  • 選挙時: 第2次モディ内閣
    • 首相:ナレンドラ・モディ
    • 与党:インド人民党(国民民主同盟)
  • 選挙後: 第3次モディ内閣
    • 首相:ナレンドラ・モディ
    • 与党:インド人民党(国民民主同盟)

日程

2024年3月16日、選挙管理委員会から選挙の日程が公表された。

改選数

  • 545
    • 選挙区   :543
    • 大統領任命枠:002


選挙制度

  • 単純小選挙区制
有権者数
968,821,926

世論調査

選挙結果

モディ首相率いるインド人民党(BJP)は、240議席を獲得して第1党を維持したものの、前回選挙から63議席も減らし過半数には及ばなかった。与党連合の国民民主同盟(NDA)が293議席を獲得しモディ政権の3期目入りの見通しはたったものの、求心力の低下が懸念される結果となった。一方、最大野党のインド国民会議(INC)は前回選挙の52議席から99議席へとほぼ議席を倍増させた。さらにINCを含む野党連合のインド国家開発包括同盟(INDIA)は、事前の世論調査に反して234議席の獲得し、議席を大きく延ばして善戦した。

党派別獲得議席

州別獲得議席

事件・事故

第1回投票日には、マニプール州タマンポクピの投票所の外で暴力事件が発生した。西ベンガル州のクチビハール、アリプルドゥアール、ジャルパイグリの各選挙区では、インド人民党 (BJP) と全インド草の根会議派 (TMC) の党員のあいだで衝突が発生し、クチビハールの投票所では中央予備警察隊 (CRPF) の隊員1名が亡くなっているのが発見された。チャッティースガル州でも、CPRFの隊員1名が投票時間中に殺害された。タミル・ナードゥ州チダムバラム選挙区ではBJPと解放パンサー党 (VCK) の幹部間での衝突が報告され、BJPの幹部1名とVCKの幹部2名がけがをした。

第2回投票日には、ケーララ州で8名の有権者が熱中症のため投票中に死亡した。マニプール州ビシュヌプル地区では武装組織の襲撃により、CRPFの隊員2名が死亡、2名が重傷を負った。同州カングポクピ地区やインパール東地区では正体不明の武装組織間で銃撃戦が発生し、1名が死亡した。同州ウクルールの2か所の投票所では、電子投票機の破壊や有権者への脅迫、強制が報告された。

第6回投票日には、ジャンムー・カシミール連邦直轄領のアナントナグ=ラジューリ選挙区でジャンムー・カシミール人民民主党から立候補していたメブーバ・ムフティーが、党員数名が警察に拘束され、投票を妨げられていると訴えた。西ベンガル州メディニプール選挙区では、自動車で投票に向かっていたBJP候補者のアグニミトラ・ポールがTMCの党員に妨害された。同時に実施されていたオリッサ州議会議員選挙では、ベグニア選挙区でBJPから立候補していたプラシャント・ジャグデヴが電子投票機を破壊した容疑で逮捕された。

第7回投票日には、西ベンガル州ジャイナガル選挙区のクルタリで群衆が投票所から選挙関連の資材を略奪し、池に投げ捨てた。サンデシュハリでは、BJPとTMCの支持者のあいだで衝突が発生した。ウッタル・プラデーシュ州では、警備や公衆衛生関連の少なくとも33人の選挙関係者が熱中症で死亡し、バリアの投票所に並んでいた有権者1名も同じく熱中症で亡くなった。ビハール州でも、選挙に関連して少なくとも10人の死者が出た。うち続く熱波について、選挙管理委員長のラジーヴ・クマールは教訓になったとしたうえで「選挙の日程を、少なくともひと月前に前倒ししておくべきだった」などと述べた。

選挙期間中を通して、電子投票機の故障や野党候補者の名前の消去といった事例が報告された。4月18日、インド最高裁判所は選挙管理委員会に、ケーララ州で発生した電子投票機の故障について調査するよう求めた。アッサム州では、故障した150台の電子投票機が取り替えられた。

6月4日には、元チャッティースガル州首相のブペシュ・バゲルが電子投票機の台数に食い違いがあったと述べた。これに先だって、元ウッタル・プラデーシュ州首相のアヒレシュ・ヤーダヴは、自らの党関係者が独自に票を数えるのを政権が阻止しているとして批判していた。

脚注

注釈

出典


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